最近、落語の世界を描いたアニメ『あかね噺』を視聴しました。作中で主人公たちが見魅せる観客を惹きつける目線の配り方、話の持っていき方といったプロの「技」には、お坊さんである私も非常に刺激を受けました。「どうすれば目の前の人に話を聞いてもらえるか」という技術は、ぜひ法話にも生かしたいと強く思ったのです。しかし同時に、私はこうも考えました。「落語家さんのように、すべてを自分の話術だけで引きつける独り舞台は、私が本当にやりたい法話ではないな」と。私が目指しているのは、落語家のような名演ではなく、参加してくださった皆様と一緒にその場の空気を紡いでいく【対話参加型の法話】です。
もちろん、事前の準備は怠りません。テーマを深く考え、原稿をしっかりまとめて話を始めます。ただ、ある程度お話ししたところで、私は皆様に「~について、どう思われますか?」と質問を投げかけます。すると、元気よく答えてくれる人、少し答えにくそうな顔をする人など、本当に様々な反応が返ってきます。私は、その一人ひとりのリアルな表情や言葉を拝見しながら、キャッチボールをする時間が何よりも心地よく、あたたかいと感じるのです。だからこそ、私の法話では難しい専門用語や、長いお経の文言はできる限り避けています。日常の言葉で、なるべく短い引用でお話しします。完璧なお坊さんの有り難い独り舞台よりも、不器用でも皆様と言葉を交わし合う時間。台本という一本の木に、皆様の笑顔や言葉という花が咲いて、初めてその日だけの「生きた法話」が完成します。落語の素晴らしい「伝える技術」は磨きつつ、主役はあくまで足を運んでくださった「皆様」です。「うちの地域でも、みんなが笑顔になれる温かい法話をしてほしい」そんなお声がございましたら、どうぞいつでもお気軽にお声掛けください。自治体の人権学習会や、大切な法要の場など、全国どこへでも皆様に寄り添うお話をお届けに参ります。
※本コラムの執筆にあたり、漫画・アニメ作品『あかね噺』を参考にさせていただきました。
妙音山 観音寺 平野晃嗣合掌
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