「好きなのに、年に1回しか会えないなんて可哀想……」
もうすぐ七夕。天の川を挟んで離れ離れにされた織姫と彦星のおとぎ話を聞いて、多くの人はそう同情します。
ですが、私は声を大にして言いたいのです。 「これほど楽で、幸せなことはないのではないか」と。
想像してみてください。 もし二人が年中ずっと一緒に暮らしていたらどうでしょう。 掃除や洗濯のやり方、ちょっとした生活習慣の違いがどうしても目に付くようになります。誕生日や記念日だって、毎回いろいろと気を遣わなければなりません。そうしているうちに、「私たち、やっぱり合わないわね」と言い出し、同じ家に住んでいるのに他人みたいになったり・・・。最終的にお別れが・・・。これは現代の夫婦でもよくあるリアルな話です。
そう考えると、織姫と彦星はどうでしょうか。 離れている間は「自分だけの時間」を100%楽しむことができます。相手が今どこで何をしているか、余計な心配や干渉をする必要もありません。何より、「年に1回、必ずあの日に会える」という絶対的な約束と安心感があります。 だからこそ、年に一度の再会を新鮮な気持ちで迎え、お互いの良さに心から感謝し合えるのです。
この七夕のお話が私たちに教えてくれる、大切な結論があります。
それは、「お互いの生活の仕方を認め合う」ということです。
夫婦であれ家族であれ、人はそれぞれ違う個性を持った、全く別の人間です。自分と同じであることを求め、相手の「違い」を無理に変えようとするから、ぶつかり合って心が離れてしまうのです。
「人は個性があり、みんな違うもの」
まずはそう認めること。そして、つかず離れずの心地よい距離感を保つこと。 それこそが、大切な人と豊かな関係を長く続けていくための、お寺からの小さな智慧です。
今年の七夕は、身近な人とのお互いの個性を認め合う、優しい日にしてみませんか。
合掌