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※画像は作品のテーマを元にしたイメージイラストです

​【法話コラム】「なんだ、簡単だったんだ」――妄想を脱ぎ捨てる勇気
​最近、若者の間で人気の漫画(『正反対の君と僕』)を読み、深く考えさせられるシーンがありました。
​物語の主人公は、いつも明るく元気な女の子。しかし心の中では、「人からどう見られるか」を常に気にし、本当の気持ちを隠して過ごしていました。好きな人ができても、「自分なんかが告白したら、今の関係や空気が壊れてしまうのではないか」と悩み、一歩を踏み出せません。
​しかし、ある時ふとしたきっかけで、勇気を出して友人に自分の本心を打ち明けます。
すると、友人はあっさりと受け入れてくれました。彼女はその時、こう感じたのです。
​「なんだ、自分の気持ちを言うのって、こんな簡単なことだったんだ!」​(阿賀沢紅茶 著『正反対の君と僕』より引用)

​「人からどう見られるか」を恐れていた鈴木さん。その心の奥底にあったのは、単なる臆病さだけではありませんでした。それは、「ありのままの自分を、友達が受け入れてくれるはずがない」という、他者への不信でもあったのです。
​■ わたしたちを縛る「莫妄想(まくもうぞう)」
​禅の言葉に「莫妄想」という教えがあります。「妄想することなかれ」という意味です。
仏教でいう「妄想」とは、単なる空想のことではありません。「まだ起きていない未来への不安」や「変えられない過去への執着」によって、真実が見えなくなっている心の曇りを指します。
​彼女を苦しめていたのは、友人たちの冷たい反応ではなく、自分自身の心が作り出した「もし嫌われたらどうしよう」という妄想の怪物でした。
​■ 未来はどこまで考えればよいのか
​私たちはつい、「先の先」まで考えてしまいます。

しかし、未来というものは、私たちが今この瞬間に踏み出した「次の一歩」の積み重ねでしかありません。
​「後と先」を考えすぎるのは、まだ見ぬ崖を恐れて、平坦な道で立ち止まっているようなものです。
大切なのは、未来を100手先まで予測することではなく、「今、この瞬間の誠実さ」に集中すること。
​妄想の霧が晴れたとき、彼女が感じた「なんだ、簡単だったんだ」という開放感は、まさに執着を手放した瞬間かもしれません。
​■ 結びに
​「人からどう見られるか」という不安は、誰の心にもあるものです。
けれど、その不安の正体の多くは、自分自身が作り出した影に過ぎません。
​もし今、何かに行き詰まりを感じているのなら、少しだけ肩の力を抜いてみてください。
未来の心配や交遊関係に素直になってみる。すると案外、扉はすんなりと開くものかもしれません。
 ​私は皆様が日々抱える心の「妄想」を洗い流し、清らかな気持ちで明日を迎えられるよう、日々お勤めをしております。
​合掌

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