よく、こんなご質問をいただくことがあります。
「お坊さんってお酒を飲むんですか?」
「スナックや居酒屋に行ったりするんですか?」
隠しても仕方がないので正直にお答えしますと、お酒が好きな人は飲みますし、飲めない人は飲みません。普通に居酒屋へ行くこともありますし、実は私は以前「坊主バー(お坊さんがマスターやスタッフを務めるバー)」でボランティアとしてお手伝いをしていた時期もありました。
ノルマもなく、都合のつく時間にフラリと行って手伝い、好きな時間に帰る。そんな気ままなボランティアでしたが、そこでの経験は私にとって非常に大きな財産となっています。
バーには、実にさまざまなお客さまが訪れます。
立場や年齢も違えば、抱えている悩みや生き方も千差万別です。華やかに見える繁華街で働いている方であっても、深い精神的な悩みを抱えていることが多くありました。どのような職種や立場であっても、誰もが同じ人間であり、苦しみや悩みを抱えて生きていることを肌で学ばせていただきました。
お酒を酌み交わしながら多様な考えを持つ方々と接する中で、「どうすれば相手が心を開き、本音を話してくれるのか」という傾聴の姿勢を、少しずつ学べたような気がいたします。
もちろん、お店で出会った方とは適度な距離感を大切にしています。深入りはせず、連絡先の交換も名刺をお渡しする程度で、たまたま出会ったその場の会話としてそっとお話をお伺いしてきました。
日常の息抜きやガス抜きも大切ですが、私にとってそうした場は「色々な人生に触れ、お寺では得られない学びをいただく場所」でもありました。
どのような悩みを抱えた方であっても、同じ目線でそっと寄り添い、話に耳を傾けられる存在でありたい——。それが、夜の街や坊主バーのカウンター越しで学んだ、私の変わらない思いです。
合掌