突然ですが、葬儀のご依頼をいただいたとき、僧侶は何をしているかご存じでしょうか?
戒名を考え、引導法語を整え、白木の位牌に筆を入れ、中陰表を作成し、塔婆を準備し、通夜では法話を行い、法事の日程を相談する――。限られた時間の中で、故人様とご遺族のために、できる限りのことを尽くしています。
でも最近、略式の葬儀が増えています。 それは、私たち僧侶が本領を発揮する場が減っているということでもあります。
略式では、喪主様や施主様のお悩みに耳を傾ける時間も限られてしまいます。 以前、打ち合わせ中に喪主様が大切なお話をされていたのですが、葬儀の時間が迫り、相談を途中で終えざるを得ませんでした。その後も参列者の対応に追われ、心の整理ができないまま儀式が終わってしまったのです。
だからこそ、お願いがあります。
「略式にしないでください」ではなく、 「私たち僧侶の力を、ぜひ活かしてください」
葬儀は、故人様を偲ぶだけでなく、残された方が「これからどう生きるか」を考える場でもあります。 その大切な時間を、私たち僧侶と一緒に、丁寧に過ごしていただけたら――。 それが、故人様への最大の供養になると、私たちは信じています。