◯葬儀や法要の場で、故人様への想いを香りに託す「焼香(しょうこう)」。大切な儀式だからこそ、「正しい作法は?」「どちらの手を使うべき?」と、ちょっぴり不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。昔から「数珠は左手、焼香は右手」という伝統的な教えがあります。もちろん、これは古くから続く大切な考え方です。しかし、私たちはいつもこう考えています。「一番大切なのは、故人様を想う、あなたの心です」
◯ まず、安全第一でお願いいたします作法を考える前に、一つだけ最も大切なお願いがあります。それは、「火のついた炭と数珠」の危険性についてです。焼香の際、もし右手に数珠を持ったままお香をくべると、火のついた炭が数珠に触れて焦げたり、思わぬ火傷の原因になったりする恐れがあります。安全のためにも、焼香をする手とは「反対側の手に数珠を持つ」または「一時的に手から外して置く」この点だけは、十分にご注意ください。
◯ 利き手を直してまで、こだわる必要はありません伝統的に、焼香は右手とされてきました。抹香(お香)が右側に置かれることが多いのも、右利きの方が使いやすいようにという配慮からです。しかし、現代は多様性の時代です。子どもの頃に利き手を直されてきた方もともと左利きの方このような方が、不慣れな手で無理に焼香をしようとすると、かえって緊張してしまい、故人様への想いに集中できなくなってしまうかもしれません。私たちは、「利き腕を直してまで、昔ながらの作法にこだわる必要はないのではないか」と考えています。本来、焼香とは、故人様への弔意を、最も無理なく、自然な形で表すためのものだからです。
◯大切なのは、あなたの「想い」と「安心」ですもしあなたが左利きであれば、無理せず利き腕(左手)で焼香し、数珠を右手に持っていただいて、全く問題ありません。現代において、この解釈は広く受け入れられるべきだと、私たちは考えています。何よりも大切なのは、この2つのことです。
◯ 安全に、落ち着いて焼香を行うこと
心を込めて合掌し、仏様と故人様に手を合わせること「10人に1人は左利き」と言われる現代。作法も大切ですが、それ以上に「誰もが安心して、心を込めてお参りできる環境」を整えることが、私たちお寺の役割だと感じています。あなた自身の利き腕で、故人様への深い感謝と別れの想いを、お香に託してください。迷うことなく、あなたらしく、心穏やかにお参りいただけることを、心より願っております。